2026年5月19〜20日、Mountain ViewのShoreline Amphitheatreで開催されたGoogle I/O 2026。今年のテーマは「Agentic Gemini Era」。AIがプロンプトに応答するだけのアシスタントから、バックグラウンドで自律的にタスクを実行するエージェントへと進化したことを宣言するイベントとなりました。主要な発表は100以上に及び、Gemini 3.5、Gemini Omni、Antigravity 2.0、Gemini Spark、Universal Cartなどが注目を集めました。

開催概要: 2026年5月19〜20日 / Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA / キーノートはSundar Pichai CEO。Google社内では3月時点でAI開発ツールを通じて1日あたり5,000億トークン以上を処理しており、数週間ごとに倍増中とのこと。

新モデル: Gemini 3.5 と Gemini Omni

今回の発表の中核となったのが、2つの新しいGeminiモデルファミリーです。Gemini 3.5はエージェント型ワークフロー向けに最適化されたモデルで、Gemini Omniはあらゆる入力からコンテンツを生成するマルチモーダル創作モデルです。

Gemini 3.5 Flash GA

フロンティアモデル級の知能をFlashシリーズの高速性で提供。Gemini 3.1 Proを上回るベンチマーク結果を記録しています。他のフロンティアモデルの4倍の出力トークン速度を実現し、エージェント型のリアルタイムワークフローに適しています。Antigravity、Gemini API、AI Studio、Android Studioから本日利用可能。

Gemini 3.5 Pro Testing

現在テスト中で、来月のGA(一般提供)が予定されています。Flashよりさらに高い推論性能が期待されます。

Gemini Omni New

テキスト・画像・音声・動画をマルチモーダル入力として受け取り、動画の生成・編集から対応。自然言語による複数ターンの動画編集が可能で、物理法則・シーン・ナラティブの一貫性を重視した出力を行います。

ベンチマークGemini 3.5 Flash スコア
Terminal-Bench 2.176.2%
GDPval-AA1656 Elo
MCP Atlas83.6%

Antigravity 2.0: エージェントファースト開発プラットフォーム

2025年11月にGemini 3とともに登場したAntigravityが、バージョン2.0で大幅に進化しました。IDE形態からエージェントハーネスが主体のプラットフォームへ移行し、開発者がAIエージェントの構築・オーケストレーション・デプロイを一元管理できる環境を目指しています。

Editor View

従来のIDEに近いインターフェース。エディタの横にエージェントサイドバーが配置され、コードを書きながらエージェントと対話するスタイル。

Manager View

複数のエージェントを並列で制御するコントロールセンター。subagentsによるチームワーク機能で、数日かかるエンジニアリング作業を数時間に短縮。

主なコアプリミティブ

Antigravity 2.0のエージェントハーネスには、subagents(サブエージェントの並列実行)、hooks(イベント駆動のカスタマイズポイント)、非同期タスク管理が新たなコアプリミティブとして導入されました。Gemini 3.5 Flashとエージェントハーネスは共同で最適化されており、モデルとプラットフォームが密結合している点が特徴です。

さらにAntigravity CLIがリリースされ、コマンドラインからエージェントを操作可能に。スタンドアロンのデスクトップアプリとしても提供されています。

開発者向け補足: Antigravityのsubagents/hooks/非同期タスク管理は、Claude CodeのSubAgent/Task/Hooksと設計思想が近く、エージェント型開発ツールのアーキテクチャが各社で収束しつつあることを示唆しています。

開発者向けツールとAPI

Managed Agents New

Gemini APIに追加されたManaged Agentsでは、単一のAPIコールでLinuxサンドボックス上にエージェントを起動できます。推論・ツール使用・コード実行をサーバーサイドで完結。Interactions APIおよびGoogle AI Studioから利用可能です。

WebMCP Origin Trial

ブラウザベースのAIエージェント向けに提案されたオープンWeb標準。開発者がJavaScript関数やHTMLフォームを構造化ツールとして公開し、エージェントが直接操作できる仕組みです。Chrome 149でOrigin Trialが開始予定。

Modern Web Guidance Early Preview

100以上のユースケースをカバーする、エキスパートが検証済みのスキルセット。AIコーディングツールに対して、パフォーマンス・アクセシビリティ・セキュリティのベストプラクティスを提供します。Baseline対応。

Chrome DevTools for Agents New

AIエージェントがリアルタイムでコードの検証・デバッグ・最適化を行うためのDevToolsサーフェス。Antigravityを含む20以上のコーディングエージェントに対応しています。

Google AI Studio モバイル対応 New

AI Studioがモバイル対応し、ネイティブAndroidアプリの「バイブコーディング」に対応。AntigravityへのプロジェクトエクスポートやFirebase連携も追加予定です。

Geminiアプリのエージェント化

消費者向けのGeminiアプリは、チャットアシスタントからプロアクティブなAIエージェントへと大きく変貌しました。

Gemini Spark Beta

24時間365日バックグラウンドで動作するパーソナルAIエージェント。ユーザーの指示に基づいて自律的にタスクを実行し、重要なアクション(メール送信、カレンダー追加など)の前には確認を求めます。Gemini 3.5とAntigravityプラットフォーム上で動作。Gmail、Google Docs、Workspaceと連携し、MCPを通じてサードパーティツールにも今夏以降拡大予定。来週よりUS AI Ultraサブスクライバーにベータ提供開始。

Daily Brief New

1日の予定やタスクをパーソナライズして提示するダイジェスト機能。エージェントが前日の活動や予定を分析し、朝のブリーフィングとして提供します。

Android Halo New

ステータスバー上にエージェントの進捗状況をリアルタイム表示する機能。作業中の画面を離れることなく、バックグラウンドタスクの状態を確認できます。

Google Searchの進化

Google Searchは、AI Mode がGemini 3.5 Flashベースに切り替わり、エージェント機能が大幅に強化されました。

Information Agents

バックグラウンドで24時間ウェブを監視し、ブログ・ニュース・SNS・リアルタイム情報から関心のあるトピックの変化を通知。今夏AI Pro/Ultra向け。

カスタムダッシュボード

継続的なタスク向けの「ミニアプリ」をSearch内で構築。特定のテーマに対するトラッカーやダッシュボードを作成可能。

Personal Intelligence

Gmail、Google Photos、Calendarと接続してパーソナルな検索体験を実現。ユーザーの明示的な許可の下で連携。

インテリジェント検索ボックス

入力量に応じてボックスが拡張し、クエリの意図をAIが予測。従来のオートコンプリートを超えた提案を表示。

ショッピング: Universal Cart

Universal Cartは、複数の小売店の商品を1つのGoogleマネージドカートに統合する仕組みです。価格下落の追跡、在庫監視を自動で行い、AIエージェントがUniversal Commerce Protocolを通じてユーザーに代わって購入を完了することもできます。手数料やリワード、ディスカウントもチェックアウト前に自動表示されます。

Search/Geminiアプリで今夏に展開開始。YouTube、Gmailへの展開も順次予定されています。

Workspace と 生産性ツール

Google Pics New

Nano Banana 2とGeminiを搭載した画像生成・編集ツール。ポスター、チラシ、インフォグラフィックの作成に対応し、クリックして指示を書くだけで画像を編集可能。すべての生成物にSynthID透かしが付与されます。今夏、AI Pro/Ultra向けにロールアウト予定。

Docs Live / Gmail Live New

音声操作によるドキュメント作成・メール操作。音声で指示するだけで文書やメールを構成できる新しいワークフローです。

Stitch New

アプリやWebサイトのビジュアルデザインを行うツール。リアルタイム協調編集に対応するStitch Agent、Antigravityへのエクスポート、Netlifyへの直接パブリッシュが追加されました。

Keep の音声ブレインダンプ

音声で考えをそのまま吹き込むと、AIが内容を分析して整理されたノートやリストに変換。今夏AI Pro/Ultra向け。

クリエイティブツール

Google Flow Gemini Omni Flash対応

AIクリエイティブスタジオであるGoogle FlowにGemini Omni Flashが搭載。AIエージェントが複数のアクションを同時実行し、Flow Toolsでカスタムツールを作成可能に。140カ国以上で利用可能。

Flow Music Beta

録音をアップロードしてGemini 3.5に追加の音楽要素を生成させるアプリ。Androidベータ版、iOS版として提供。

SynthID / C2PA Content Credentials

AIコンテンツへのデジタル透かしと来歴検証の機能。SearchやChromeにも拡大され、AI生成コンテンツの検出がより容易になります。

ハードウェア

ハードウェアの発表は比較的控えめでしたが、Samsung との協業によるIntelligent Eyewearが注目を集めました。Android XRベースのスマートグラスで、Warby ParkerとGentle Monsterがデザインを手掛けています。Gemini音声操作で道案内、テキスト送信、写真撮影などが可能。今秋の発売が予定されています。

料金プラン

Google AI Ultra

$100 / 月

開発者・テクニカルリード・ナレッジワーカー向け
Antigravityで5倍の使用量 / Gemini Spark利用可

従来のAI Plus($10/月)、AI Pro($30/月)に加えて、開発者向けの上位プランとして設定されました。AI Ultraでは使用量制限が5時間ごとにリフレッシュされ、週間上限まで利用可能です。

注意すべきポイント

現時点での制限事項

まとめ

Google I/O 2026は、AI業界全体がエージェント型AIへと転換しつつある潮流を象徴するイベントでした。Gemini 3.5 Flashの高速な推論性能、Antigravity 2.0のエージェントオーケストレーション、そしてWebMCPのようなオープン標準の提案は、開発者にとって今後の技術選定に直接影響する発表です。

特にAntigravityのsubagents/hooks/非同期タスク管理は、Claude CodeやCursorなど他のAIコーディングツールのアーキテクチャと設計思想が収束しつつあり、エージェント型開発プラットフォームの「標準形」が見え始めています。消費者向けではGemini Sparkの常時稼働エージェント化が最大のシフトであり、AIとの関わり方が根本的に変わる可能性を示唆しています。